「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい


 それから俺は毎日漆黒の森で剣をふるった。そのおかげか、メキメキとその実力をつけていった。漆黒の森の魔獣は、俺が住んでいた南の辺境伯領にある森にいた魔獣の数倍凶暴で強い。そんな魔獣と戦っていれば、自分の能力が伸びるのは分かるが、それにしても異常な成長の仕方だった。

 騎士団の皆が、さすがは勇者と褒めてくれた。初めこそ子ども扱いで可愛がられていたが、一か月もすれば戦力となっていた。二か月たつ頃には先陣を切って戦えるほどになった。

「ジュウド、今日も凄かったな」

「シドさん。ありがとうございます。形だけでも何とか戦えるようになってきました」

「謙遜するな。ホント、お前はすごいよ」

 シドさんがそう言って、俺の頭をぐりぐりと撫でてくれた。

「しっかし今日は漆黒の森のずいぶん奥まで入ったってのに、強い魔物が出なかったな?」

「そうですね。最近は強い魔獣に遭遇することが減りましたね」

 これは他の騎士達も言っていた。

 最近森の様子がおかしいと。

 まるで違う森に迷い込んでしまったかのようだと。

 皆そう言っていた。

 確かに俺もそう思う。

 魔獣が倒しやすいのは俺の実力が上がっただけではない。魔獣が弱体化している、そんな感じだ。

「それにしても、今日も空が青いな」