「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい


「もうすぐオリエお嬢様の誕生日ね」

「お嬢様ももうすぐ7歳ね。可愛いらしく、聡明になられたわ」

 そうか、もうすぐ妹の誕生日なのね。

 私には妹が一人いる。

 妹は両親に可愛がられ、辺境拍家のお嬢様としてきちんと教育を施されている。こんな場所に転がされている私とは違い、愛されて育っていた。

 妹はもうすぐ七歳……それなら私は10歳かしら?生まれた時からここにいる私は、自分の誕生日の日も知らない。

 愛されない私はずっとこの地下牢で過ごしている。

 自分の両親に会ったことも無い。

 親に忘れられた存在。

 違う。

 忘れたい存在。

 忌まわしい存在。

 それが私だ。

 自分の存在意義が分らない。

 心の奥に言いようのない感情が広がったが、それを脳裏に追いやりながら私は大きく息を吐いた。大きく溜め息を付いていると使用人達が嬉しそうに話を続けている声が聞こえてきた。

「そういえば、気味の悪い呪われたお嬢様はどうなったのかしら?」

「ああ、あの呪われた子供?伯爵様に見放されて、牢屋にいるっていう?」

「そうそう、何年も誰も牢屋に近づいていないらしいけど、生きているのかしら?」

「生きていますよー」

 誰も聞いていないのに間延びした声で私は返事をした。