「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい


 ふっと目を覚ますと、胸のあたりに小さな丸い毛玉が乗っていた。暖かいのはこれのせいだったのね。毛玉は寝息を立てているため、起こさないようにゆっくりと体を起こす。すると毛玉はころりとお腹を出して寝返りを打ち、上を向いた小さな手足はぴくぴくと動いている。気持ちよさそうに眠っている毛玉はお腹を上下に動かしていた。

 ぽっこりとしたお腹がとても可愛らしい。

 無防備におなかを出したりして大丈夫なのかな?

 警戒心がなさすぎるよね?

 それにしてもこれは何の生き物だろう?

 黒い毛に短い手足、眠っているから分からないが、瞳の色は何色だろう?耳は三角なのね。それにしても真っ黒。

「かわいい」

 無防備におなかを出しているこの生き物のおなかを優しくなでてみる。

「温かい」

 生き物のぬくもりに触れて、心が温かくなる。すると体がふわりと軽くなった。

「あれ?今……何が起こったんだろう」

 自分の体を見て、その変化に気づく。

「髪が白くなってる?」

 真っ黒だった髪が一部分だけ白くなっていた。 

 どういうこと?

 急に年を取ったのかな?