獰猛な竜騎士と草食系悪役令嬢

 さっきの名前を呼ぶ声がどう考えても怒鳴り声だったので、ここから団長などに怒られるのかもしれない。なんだか申し訳ないけど、ヴィルフリートが来てくれて……助かった。

 私は歩き出して、さっきのことを思い返した……わ。びっくりした。

 いつも割と厳しいことばかり言って来るのに、今日はやけに優しかった。

 そして、間が良いことに庭師見習い仲間がジョニーのところに今から日誌を持って行くというので、彼に日誌を預けることにした。

 仕事を首尾良く済ませることの出来た私は、足早に自室へと帰り扉を後ろ手でバタンと閉めた。

 びっくりした……ヴィルフリートが、私をフレデリックから庇ってくれて、びっくりした!

 しかも、私のことをあんな風に言ってくれるなんて……胸の中がじーんとした。

「……あれ?」

 私はひとりでに頬に流れる涙に触れた。

 今まであんな風に庇ってくれる人なんて、誰一人居なかった。味方なんて誰も居なかった。

 皆、フロレンティーナの言葉を支持した。

 私は責められるだけ責められても、言い訳することすら許されなかった。

「ヴィルフリート……」