鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した

「げえ」


 大盛り牛丼を平らげて、コンビニでカップ麺と菓子パンを買い込んで部屋に戻ったら、マンションの廊下で長谷川が待ち構えていた。

 エプロンは外してたけど、袖をまくったシャツにジーパン姿で、やけに新鮮だった。

 こいつ、飲み会でもシャツの袖ひとつまくらないもんね。


「何してんの」

「立花を待ってた」


 眉間にシワを寄せた長谷川がグイッと距離を詰めてきた。圧が強い。怖い。


「なんで」

「引っ越しの挨拶」

「嘘だあ」

「嘘じゃねえよ。他にも聞きたいことが山ほどあるがな」

「……これ、部屋に置いてきていい?」


 手にぶら下げたままのコンビニ袋を見せると、長谷川が小さく頷いた。私は急いで部屋に荷物を置きに戻った。


「時間かかる?」

「それは立花次第だな」

「じゃあどっか行こうよ。なにもマンションの廊下で説教とかされたくないんだけど」

「そんなつもりじゃねえけど……まあ、そうだな。俺この辺わからないから任せていい?」

「いいよ。最寄りカフェがタリーズとコメダなんだけど、どっちがいい?」

「コメダ」

「行こう」


 長谷川はまだムスッとしていたけど、黙って私の後ろについてきた。


 黙ったまま、住宅街を五分くらい歩いてコメダへ向かった。カウンター席しか空いてなかったから、並んで座ってメニューを開く。
 コメダに来るなら、さっきの牛丼を大盛りにしなきゃよかった。


 私はコーヒーだけ頼んで、長谷川の注文が終わるのを待ってから声をかけた。