鬼同期が家だとオカンだったし、その後スパダリに進化した

 翌日、目が覚めたら昼過ぎだった。


「……さすがにお腹空いたな」


 身支度をして部屋を出たら、お隣さんが引っ越しをしていた。


「その箱は奥の部屋に運んでください」


 なんか、聞き覚えのある声がした。

 引越し屋さんの台車を避けようとしたとき、隣の部屋から男の人が出てきた。

 エプロンをつけた、背の高い人だ。


「あ、すみません、今日越してきた者で……」


 目が合って、お互い固まった。

 長谷川だった。


「……そっくりさんかな?」

「んなわけあるか!」


 このキツい感じ、本物の長谷川じゃん。


「えー、なんで長谷川がエプロンつけて隣に?」

「今言っただろ。今日引っ越してきたんだ。どうぞ、よろしく」


 長谷川はお客様に見せる、愛想のいい顔を私に向けた。私が嫌々頷いた途端、それがすっと凍ったみたいに冷たくなった。


「あ、俺のイメージが崩れるから、会社でエプロンのこと言うなよ」


 ドスの効いた声に、今すぐ引っ越したくなった。