文化祭二日目の午後も、私が上がると世菜が廊下で待っていた。
「世菜、クラスの当番ちゃんとやってる?」
「やってるよ。ソワソワしすぎて使い物にならないから、早めに休憩にしてくれただけだよ」
「やってない!」
世菜は「そうかも」なんて言って私の手を取った。
今日の昼はカレーにした。部長のクラスで出していて、昨日、桔花と蓮乃が美味しかったと教えてくれたのだ。
「部長ー、食べに来ました」
「お、由紀と坂木だ。大盛りにしてやるよ」
「桔花と蓮乃が美味しかったって言ってましたよ」
「……マジで? なんだよ、俺には『普通』って言ってたくせに」
部長はニヤッと笑って、カレーを山ほど盛ってくれた。
カレーの後、桔花と蓮乃のクラスに向かうと、長蛇の列ができていた。
「なんだこりゃ」
「午前中からすごかったよ。須藤さんたちがモテてるんだろ?」
「そう噂には聞いてたけど……」
並びながら教室を覗くと、桔花と蓮乃がディーラー服でカードを配ったり、ルールの説明をしていた。
ディーラー服は何年か前の文化祭で買ったもので、毎年カジノをやるクラスに貸してくれるらしい。
二人は背が高いから男物を着ていると言っていたけど、それがすごく似合っていてかっこいいな。
「チップのご用意はよろしいですか? あら、先輩、そんなはした金で何をお求めですの?」
「カードの確認はよろしいでしょうか。みなさまの勇気に期待致します」
桔花と蓮乃は、よく通る声で客を煽りながらゲームをしていた。
なに? そういうのが受けてるの?
「なるほど」
私にはちっとも意味が分からないのに、世菜は深く頷いていた。
「あのね、きれいなお姉さんに罵られたいんだよ」
「二人とも一年生だけど?」
「気分だよ、気分。挑発されて、乗っかってコテンパンにやられるのが楽しい」
「マゾ?」
「男なんて多かれ少なかれそうだと思う。だから部長はあんなに楽しそうに二人の尻に敷かれているんだろ」
「説得力がすごい」
笑いつつ、世菜の顔を見た。
この人も二人に罵られたいのかな。
「なに? あ、俺? 俺は花菜ちゃんで間に合ってます。間違えた、満足してます」
「言い方……。まあいいけどさ」
「普段は気が強くて言いたい放題でけんかっ早い花菜ちゃんが、俺といるときは優しくよしよししてくれて、腕の中ではしおらしくしてるギャップが最高なので」
「う、うっさいな……」
いちいち全部言葉にしないでほしい。
見上げると世菜は嬉しそうで、たぶんそういう罠だ。
しばらく並んで、やっと教室に入れた。
「あ、花菜ー、ポーカーしようよ。花菜ポーカーフェイス下手だから、巻き上げさせて」
「ルーレットは強そうだから来なくていいよ」
私に気づいた双子が、言いたい放題言いながら手を振った。
「誘い方が最悪なんだけど!?」
「お兄ちゃんからもがっつり巻き上げました!」
「お父さんにはコテンパンにやられたので!」
「あ、さっき瑞希さんと澪さんも来たよ。二人とも強かった」
「澪さんは全然表情が変わらないし」
「瑞希さんはエスパー?ってくらいルーレットを当てるし」
「ウケる」
私はルーレット、世菜はポーカーを何回かして、どちらも勝ったり負けたりだった。
「花菜、二回目と五回目はわざと外したでしょ」
「さあ?」
「坂木先輩、意外とポーカーフェイス上手いですね」
「ありがと」
「世菜、クラスの当番ちゃんとやってる?」
「やってるよ。ソワソワしすぎて使い物にならないから、早めに休憩にしてくれただけだよ」
「やってない!」
世菜は「そうかも」なんて言って私の手を取った。
今日の昼はカレーにした。部長のクラスで出していて、昨日、桔花と蓮乃が美味しかったと教えてくれたのだ。
「部長ー、食べに来ました」
「お、由紀と坂木だ。大盛りにしてやるよ」
「桔花と蓮乃が美味しかったって言ってましたよ」
「……マジで? なんだよ、俺には『普通』って言ってたくせに」
部長はニヤッと笑って、カレーを山ほど盛ってくれた。
カレーの後、桔花と蓮乃のクラスに向かうと、長蛇の列ができていた。
「なんだこりゃ」
「午前中からすごかったよ。須藤さんたちがモテてるんだろ?」
「そう噂には聞いてたけど……」
並びながら教室を覗くと、桔花と蓮乃がディーラー服でカードを配ったり、ルールの説明をしていた。
ディーラー服は何年か前の文化祭で買ったもので、毎年カジノをやるクラスに貸してくれるらしい。
二人は背が高いから男物を着ていると言っていたけど、それがすごく似合っていてかっこいいな。
「チップのご用意はよろしいですか? あら、先輩、そんなはした金で何をお求めですの?」
「カードの確認はよろしいでしょうか。みなさまの勇気に期待致します」
桔花と蓮乃は、よく通る声で客を煽りながらゲームをしていた。
なに? そういうのが受けてるの?
「なるほど」
私にはちっとも意味が分からないのに、世菜は深く頷いていた。
「あのね、きれいなお姉さんに罵られたいんだよ」
「二人とも一年生だけど?」
「気分だよ、気分。挑発されて、乗っかってコテンパンにやられるのが楽しい」
「マゾ?」
「男なんて多かれ少なかれそうだと思う。だから部長はあんなに楽しそうに二人の尻に敷かれているんだろ」
「説得力がすごい」
笑いつつ、世菜の顔を見た。
この人も二人に罵られたいのかな。
「なに? あ、俺? 俺は花菜ちゃんで間に合ってます。間違えた、満足してます」
「言い方……。まあいいけどさ」
「普段は気が強くて言いたい放題でけんかっ早い花菜ちゃんが、俺といるときは優しくよしよししてくれて、腕の中ではしおらしくしてるギャップが最高なので」
「う、うっさいな……」
いちいち全部言葉にしないでほしい。
見上げると世菜は嬉しそうで、たぶんそういう罠だ。
しばらく並んで、やっと教室に入れた。
「あ、花菜ー、ポーカーしようよ。花菜ポーカーフェイス下手だから、巻き上げさせて」
「ルーレットは強そうだから来なくていいよ」
私に気づいた双子が、言いたい放題言いながら手を振った。
「誘い方が最悪なんだけど!?」
「お兄ちゃんからもがっつり巻き上げました!」
「お父さんにはコテンパンにやられたので!」
「あ、さっき瑞希さんと澪さんも来たよ。二人とも強かった」
「澪さんは全然表情が変わらないし」
「瑞希さんはエスパー?ってくらいルーレットを当てるし」
「ウケる」
私はルーレット、世菜はポーカーを何回かして、どちらも勝ったり負けたりだった。
「花菜、二回目と五回目はわざと外したでしょ」
「さあ?」
「坂木先輩、意外とポーカーフェイス上手いですね」
「ありがと」



