並んで歩くなら、あなたと

 先輩にホースでの水やりを任せて、私は絡まらないようにホースを伸ばしていった。

 水やりを終えたら片付けて、先輩と一緒に校庭に向かった。苗はまあ、たぶん大丈夫。少し土を足して様子を見ることにした。

 今日は中庭に藤也がいるからそっちは見なくていいし、桔花(きっか)蓮乃(はすの)があちこち見て回っていたから、いつもよりだいぶ楽だった。


「藤也、おつかれ。早めに切り上げていい?」

「いいよ。平日あれこれ任せちゃってるし、早く帰れるときに帰れ。世菜も今日はもう切り上げていいよ」

「ありがとうございます。お先です」

「藤也、午後はバイト?」

「うん、今日はじいさんと神社行く。明日は花屋にいる」

「わかった。おじいちゃんが須藤さんのおじいちゃんと飲みたがってたから伝えておいて」

「じいさんたちが飲みたいのなんていつもじゃん。伝えるけどさ」


 他の先輩たちにも挨拶をして、中庭を出た。

 先輩がそわそわするから、手を掴んだ。互いに汗ばんでいるけど、無視して手をつないだ。

 わかりやすく嬉しそうで、かわいいやら恥ずかしいやら。

 この人、本当に私のことが好きだよね。


「先輩」

「うん?」

「……寂しかったら、よしよししますから、藤也に威嚇したり、水やりの邪魔しちゃダメですよ」

「してないよ、そんなこと」


 先輩はわかりやすく目を逸らした。

 そうじゃなくたって、藤也があれだけ笑っていれば気づくから、誤魔化さなくてもいいのに。


「先輩、帰りましょう。私疲れました」

「……俺のせい?」

「自覚があるなら自重してください」

「それは難しい」

「もー」


 一緒に自転車で帰った。

 先輩に家まで送ってもらって見送ってから、自転車を止めたら柚希(ゆずき)が畑から歩いて来た。


「付き合い始めた?」

「まさか」

「その割には顔が緩んでるけど。どっちも」

「そんなことないよ」

「写真撮ろうか?」

「いらない!」


 笑う弟を睨んで、家に向かった。

 洗面所で鏡を見ると、確かに口元が緩い気がするけど、別にそんなんじゃないし。