俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

(どうすれば──)

 そのときドアが開き、田端が現れた。

「どうした?」
「今日もいらしているのですが、いかがいたしましょうか。ふたりでお話したいことがあると」

 誰が?と聞かなくてもすぐに誰のことかわかった。ここ最近、アポなしで頻繁に現れる人物などひとりしかいない。

「次の約束まではまだ時間があるな?」
「はい。一時間ほど」
「わかった。では、ここではなく応接室のほうに通してくれ」
「かしこまりました」

 田端は頷くと、退室する。
 浩斗は重い腰を上げると、応接室へと向かった。

「浩斗!」

 ソファーに座っていた裕美は浩斗を見て顔を明るくする。

「小名木さん、今日はどうされましたか?」

 気安い様子の裕美に対し、浩座は他人行儀に問いかけた。
 留学から帰ってきた裕美は今、ウィズンコーポレーションの広報室長のはずだ。本来なら、こんなところで油を売っている暇などないはずなのだが。

「浩斗に、大事な提案があって来たの」
「どのようなご提案でしょう」

 浩斗は目を細める。ふたりで話したいと事前に伝えたことから察するに、周囲には聞かれたくない内容なのだろう。

「私と、よりを戻さない?」

 裕美はにこっと微笑む。浩斗は自分を見つめる裕美を見返した。

「サイバーメディエーションとウィズンコーポレーションは、今後ますます重要なパートナーになる。私と一緒になれば、末永くいい関係が保てるわ」

 裕美は、自信たっぷりの眼差しで浩斗を見つめる。
 その瞳は、断られることなど絶対にないという自信で溢れていた。