俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

「私は──」

 何か言わなきゃいけないのに、言葉が出てこない。

 結衣から見て、圭吾はとてもいい人だ。親切で優しくて、思いやりがある。中華ドラマが大好きという点も共通していて、話も合う。
 断る理由なんて何もない。

 そう思うのに、脳裏に浮かんだのは自信たっぷりな笑みを浮かべる浩斗の姿だった。
 初めは、大嫌いだった。自信たっぷりで自分が負けるわけがないと確信している態度が結衣とはあまりにも違いすぎて、理解できないと思った。

 けれど、何回も会って交流するうちに、彼の知らなかった部分を知っていった。
元カレからさり気なく庇ってくれる優しさや、結衣を喜ばせようと慣れないバーベキューに奮闘する姿や、他人に弱さを見せないように見えないところで努力しているストイックさ、自分が不利になるとわかっていながら結衣に好きだとひたむきに告げてくる真摯さ。
 そして、結衣のほうを見て子供みたいに嬉しそうに笑う笑顔。その全てを、愛しいと思うようになったのはいつからだろう。

「……ごめんなさい」

 結衣は深々と頭を下げる。
 こんなにいい人を振るなんて、自分でもどうかしていると思う。それでも、はっきりと自覚した気持ちに嘘は付けなかった。

「私、浩斗さんが好きなんです」
「……そっか」

 圭吾は残念そうに、肩を落とす。

「じゃあ、しかたない。浩斗に愛想を尽かしたら、連絡してよ」

 明るく笑って言ったのは、結衣に気を使わせないためだろう。

「ふふっ、そうですね」

 圭吾に釣られて、結衣も笑みをこぼした。