俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~


 そのとき、社用スマホが鳴る。結衣は慌てて電話をとった。

「はい、秘書部の横溝です」
「こんにちは。小名木です」

 電話越しに声を聴き、結衣は驚いた。まさか、裕美が自分にかけてくるなんて思ってもいなかったから。

「小名木様、いつもお世話になっております。今、社長にお繋ぎ──」
「いいえ、結構よ。今日は横溝さんに用があったの。すぐ近くにいるから、少し会ってお話しできるかしら?」
「……私に?」

 結衣は困惑する。
 裕美が関係する自分への用など、全く思いつかなかった。

 だが考えていても仕方がないと、結衣は指定された会社近くのカフェに向かう。裕美は、窓際のテーブル席で優雅に本を読んでいた。

「小名木様、お待たせいたしました」

 結衣はおずおずと、裕美に挨拶をする。

「いらっしゃい。急に呼び出して悪かったわね」
「いえ、大丈夫です」

 結衣は首を振る。しかし、内心では何を言われるのか全く予想が付かず不安で一杯だった。

「先日、横溝さんに身の程をわきまえろって言ったでしょう? あれ、訂正するわ」
「え?」

 裕美は結衣を見つめる。

「あなたにはもっとはっきり言わないとわからないみたいだから、単刀直入に言わせてもらうわ。浩斗の前から消えて」