俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~


 夕方、成瀬が不機嫌そうに机に肘を突く。

「なーんでまたあの女が一緒なのよ。広報室長はデータセンターに関係ないでしょ」
「まあまあ、成瀬さん。落ち着いて」

 結衣は成瀬を宥める。
 彼女が怒っている理由。それは、小名木社長と共に予定にない人物が訪問してきたからだ。

「お茶出しがてらけん制してくるのよ!」
「はは……」

 結衣は苦笑いして言葉を濁す。
 成瀬に促されて社長室にお茶を出しに行くと、浩斗と向かい合って小名木社長と裕美が座っていた。

「今日は小名木室長もご一緒なのですね」

 浩斗がにこやかに問いかける。

「ええ。娘から一緒に行きたいと言われまして。私も、いつか引退する日に備えて娘には今からいろいろ教えておきたいと思ってるんですよ」
「何をおっしゃいますか。小名木社長には、まだまだ元気にご活躍いただかないと」

 ふたりの話を横で聞いていた裕美はお茶を出しにきた結衣に気づいたようだが、ふいっと目をそらした。

「では、遅くなる前にご案内しましょう」

 浩斗が立ち上がると、「ええ、お願いします」といって小名木社長と裕美も立ち上がる。
 社長室を出ていく浩斗の腕に、裕美がさりげなく手を回していた。