俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 会議室に集まる経営メンバーの面々は、手元のモニターに投影される暫定報告書を真剣に見つめる。

「現時点で同様の苦情が五件に増加しております。報告のあったユーザー様のアプリを確認させていただいたところ、確かにふたりのベストパートナーが登録されており──」

 浩斗はアプリ開発担当部長の説明に耳を傾ける。

「ふたりのベストパートナーが登録される場合、どちらかの判定が間違っているということか?」
「まだサンプル件数が少なく断定はできません。一方で、調査を行った5件中2件でふたりともベストパートナーと判定されることを確認しましたので、残る3件もその可能性は高いかと。現在、調査中です」
「ふたりともベストパートナー……」

 浩斗は考え込む。

(つまり、マッチング率99%以上の相手はひとりとは限らないということだな)

 シェアラはとある条件に合致するときにベストパートナーだと判定する。その条件が合致する相手が複数人いることは、なんら不思議ない。

「ただ 正常動作では誰かとベストパートナーになった場合は他に該当する人がいてもマッチングしないはずです」

 開発担当部長は説明を続ける。

「ある程度、原因の解明はできたのか?」
「それが、テスト環境での再現を試みているのですが、まだ再現できておらず──」

 言い淀む開発担当部長の様子から、解明はまだできていないと悟った。

「状況はわかった。引き続き調査を頼む。会議前でも、逐次報告してくれ」
「承知いたしました」

 開発担当部長は深々と頭を下げた。

(一刻も早くバグの修正をしなければ)

 こんな事例がどんどん増えていけば、シェアラのAI機能に対する信用が落ちてしまう。他のマッチングアプリとの最大の差別化ポイントなだけに、ユーザーの流出は免れないだろう。

 浩斗はこれからの対処について考え、深く息を吐いた。