俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

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 結衣にとって馴染みのある中華料理屋は、いわゆる町中華だ。なので、本格的な高級中華料理屋に来るのは初めてで、思わずきょろきょろしてしまう。
 テーブルに案内されると、スタッフが座りやすいように椅子を引いてくれた。おどおどする結衣に対し、浩斗は慣れた様子で椅子に座る。
 お店はいわゆる宮廷料理を提供する高級中華料理屋だった。

「結衣がこういう店に来たがるなんて珍しいな」

 庶民的な店を好む結衣らしからぬ店選びに、浩斗は不思議そうな顔をする。

「実は、今はまっている中華ドラマで宮廷料理がたくさん出てくるので食べてみたくなって」

 結衣は照れたように言う。

「中華ドラマ?」
「はい」

 結衣は頷く。
 そういえば、浩斗にドラマの話をするのははじめてかもしれない。

「どういう話なんだ?」
「中華風の世界で平民の女の子が宮廷料理人を目指すお話なんです。その過程で色々な事件が起きて──」

 結衣は夢中で話始める。
 料理が運ばれてくると、それは映像の中で見たものとそっくりだった。美しい器に載せられた料理は、凝ったカットを施した野菜などで煌びやかに飾りつけされており、とても華やかだ。普段見る中華料理とは全く違う様々な料理に、結衣は目を輝かせる。

「すごい。本当にドラマで見たやつみたい……」

 結衣は早速、皿に料理を盛り付ける。一口食べて、さらに感動した。

「見た目だけじゃなくて味も美味しい!」

 こんな素晴らしい料理があるのかと感動していると、すぐ近くでくすっと笑う気配がした。

「よっぽど好きなんだな」