俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 一方の浩斗は、腕時計を確認した。

「もうこんな時間か。そろそろ終わりにしようか」
「はい。今日はこのあと予定があるんですよね?」

 結衣は持っていたクラブをゴルフバッグにしまう。

「ああ。友人と飲むんだ。一緒に夕食を摂れなくて悪い。来週、時間を作るからどこかで一緒に食事に行こう」
「いえいえ、お気になさらずに楽しんで来て下さい」

 気を遣わせるのも悪いと結衣が両手を胸の前で振ると、浩斗の表情が真剣なものになる。

「確かにルールでは会うのは週一だが、俺がもっと結衣と一緒に過ごしたいんだ」
「え?」
「週に一回は最低ライン。いいだろ?」

 耳元で囁かれ、結衣は思わず赤くなる。

(最近こういうことばっかり言うから、どういう反応していいのか困る )

 好意を向けてくれている人を無下にするのは気が引けるが、勝負のためにほだされるわけにはいかないのだ。

(そういえば──)

 Excelのゴルフコンペ参加者リスト表に『小名木裕美』の記載があったことを思い出す。結衣は浩斗をちらりと見る。

(成瀬さんは、社長の元カノって言ってたよね。今はどういう関係なんだろう)

 浩斗はすぐに結衣の視線に気付き、彼女を見返す。

「どうした?」
「いえ、なんでもありません」

 結衣は小さく首を横に振る。
 聞きたいけれど、なんとなく聞きにくかった。