俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

「……成瀬さん、もしかして、社長がお話する相手を全員覚えていらっしゃるんですか? すごくないですか!?」

 結衣は本気で驚いた。
 名前と顔を覚えるのが苦手な結衣には考えられない特殊スキルだ。

「社長秘書なんだから当然でしょう? お名前を憶えていないなんて、一番失礼よ」
「確かに、それもそうですね」

 言われていることはよくわかる。だが、覚えられないのだ。

(でも、わたしもしっかり頑張らないと)

 いつまでも成瀬に頼りきりではいられない。早く仕事を覚えたいと、結衣は気合を入れる。

 そのとき、ざわっと会場の一角が騒めいた。結衣はその方角を見る。
 遠目に、モデルみたいに綺麗な女性が歩いているのが見えた。

(うわー。綺麗な人)

 思わず目を奪われる。

「成瀬さん。あの方すごく綺麗ですね。モデルさんですかね?」
「どの人?」

 成瀬は結衣の視線の先を追う。次の瞬間、明らかに驚いたような顔をした。

「なんであの人が──」

 一方の女性は、ぐるりとあたりを見回して、結衣たちの方向を見てパッと表情を明るくした。

(こっちに来る?)

 結衣はその女性を見守る。

「浩斗! 久しぶりね」