俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

(ち、近い…)

 まるで後ろから抱きしめられているような錯覚に陥る。今までにない距離感に、動揺を隠せない。

「わかった?」

 浩斗が喋ると吐息が耳にかかり、結衣はビクッと体を震わせる。

「結衣? どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません!」

 結衣はぶんぶんと首を横に振って否定すると、ぐいっと浩斗の胸を押して距離をとる。

「じゃあ、今の動きを意識してもう一回やってみて」
「はい」

 結衣はもう一度、今度はひとりで打席に立つ。

(グリップをしっかり握って、ボールを見て──)

 ぐいっとクラブを振る。

 カキーンといい音がして、ボールがぴょーんと飛んだ。浩斗の半分にも満たない距離だが、結衣にとっては間違いなく、今日一番のショットだ。

「やったー!」

 結衣は表情を明るくして、大喜びする。

「浩斗さん、真っ直ぐ飛びました!」

 結衣は大はしゃぎで浩斗に報告すると、ハイタッチする。

「おめでとう。よかったな」

 浩斗の目元が優しく細まり、胸がドキッとする。
 赤くなった頬を隠したくて、結衣は彼から目を逸らした。
 気づけば、空が夕焼けに染まっている。

「そろそろ終わりにしようか」