俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 その日の午後、結衣は自席で初心者向けゴルフレッスンの本を読む。【はじめてのゴルフ 入門ブック】というタイトルのこの本は、昼休みに本屋で買ってきたものだ。

「パーが規定打数、ボギーが規定打数+1、バーディが規定打数-1」

 読みながら、頭が痛くなってくる。

(なにこれ、意味わかんない!)

 どうしてこんな意味不明の呼び方にするのかと、この数え方を考案した人を問い詰めたいくらいだ。

「横溝さん 随分険しい顔をしていますが、どうかしましたか?」

 ハッとして振り返ると、外出から戻ってきた田端の姿があった。少し離れたところに浩斗もいる。

「今度のゴルフコンペの準備中なんですけど、ちょっと勉強を──」

 思わず視線が泳ぐ。

「そうですか。わからないことがあったら聞いてください」
「はい。ありがとうございます」

 結衣はぺこりと頭を下げる。とはいえ、超基本のルールを聞くのは気が引けた。

 一人になってからもしばらく勉強していた結衣は、パタンと本を閉じる。

(うーん。とりあえずクラブだけでも買ったほうがいいのかな。あれっていくらくらいするんだろう。経費……にはできないよね)