俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 ウィズンコーポレーションを出た結衣は、隣を歩く成瀬にこそっと話しかける。

「成瀬さん、ゴルフコンペがあるんですか?」
「ええ、そうよ。田中さんから引き継ぎされなかった?」

(されてない……)

 田中さんとは、結衣の前任でもうすぐ産休に入る女性だ。記憶を手繰るが、ゴルフの話なんて一度も出てこなかったように思う。

「横溝さんもプレーしてもらうから練習しておいてね」
「はい?」
「だから、ゴルフコンペよ」
「え!? 秘書も参加するんですか?」

 ひっくり理仰天して、結衣は聞き返す。

「もちろんよ。お客様にだけゴルフをやらせて眺めているわけにはいかないでしょう?」

 成瀬は何を当然のことを聞いているのかと言いたげな様子だ。

(言われてみれば……。どうしよう。私、ゴルフやったことない)

 結衣は青ざめた。

「社長。本日の予定は以上です。明日は9:30より、経営会議がございます」

 しゃきっとした態度で、成瀬が浩斗に告げる。

「ああ わかった」

 浩斗は時計を見る。

「定時を過ぎているから、今日はここで解散しよう」

 結衣も時計を確認すると、ちょうど六時を少し過ぎた頃だった。