俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 その日の夜、結衣は繁華街を走っていた。
 こういう時に限って赤院号だ。交差点で信号に立ちどまる。

「急がないと 遅れちゃう」

 待ち合わせの時間まで、あと数分だ。

(成瀬さん 本当に手加減なかった)

 社長と付き合っていると聞けば、どこか遠慮して仕事を絞ってしまいそうなものだ。けれど、成瀬は容赦なく結衣に仕事を振ってきた。 
 そういうところも、成瀬らしいなと思う。

 信号が青に変わる。結衣は小走りで目的のビルへ向かう。浩斗は一階のエレベーターホールでスマホの画面を眺めていた。

「浩斗さん」
「結衣」

 結衣の顔を見たとたん、浩斗の表情がふっと緩む。ドキッと胸が跳ねた。

「遅くなってすみません」
「いや、時間ぴったりだ。行こうか」
「はい」