俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 もし成瀬が結衣と浩斗の関係を知ったらどうなるのだろう。結衣はびくびくしつつも、必死に穏やかな表情を浮かべたのだった。

 成瀬が連れて行ってくれたのは、少しお洒落なお蕎麦屋さんだった。結衣は始めてくる店だが、個室になっていて雰囲気もよく、値段もそこまで高くない。

「ここ、急なお客様がいらっしゃって食事をご一緒することになった際によく利用するの。覚えておくといいわ」
「へえ、そうなんですね」

 結衣は頷きつつも、室内を見回す。窓際にはちょっとした花が生けられており、たしかにお客様をお連れするのにもちょうど良さそうだ。
 間もなく食事が運ばれてきて、結衣と成瀬は向かい合って食べ始める。会話は特になく、静寂の中にそばを啜る音だけが響く。

(気まずい……)

 どうして今日、成瀬に誘われたのかの意図がわからず、結衣はもくもくと食べ続ける。すると、ようやく成瀬が口を開いた。

「あのさ、横溝さんと社長ってベストパートナーなのね」

 突然さらっと言われた台詞に驚き、結衣は咳き込む。

「なんでそれを……!」
「この前社長室の前で会話しているのを 偶然聞いちゃったの」