俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 成瀬はいつもきびきびと仕事をしているが、今日はいつも以上に表情が引き締まって『仕事人間』という言葉を想起させるほどだ。

(今日の社長の同行予定が田端さんに変更になったからかな? あんまり話しかけないようにしよう)

 そのとき、私用のスマホに通知が届いた。結衣は画面を確認する。『浩斗さんからメッセージだよ』というメッセージと共に、エンちゃんがハートを飛ばしている。

『今日は19:00に直接店で待ち合わせで』

 結衣は、素早く返事を打ち込む。

『はい 外出お疲れ様です』

 送信ボタンを押したまさにそのとき、背後から「横溝さん」と声がした。ビクッとして振り返ると、成瀬が立っており結衣を見つめている。

「今日、お昼一緒に外に行かない?」

 成瀬はにこっと微笑む。

(お昼?)

 秘書部に異動して以来、外出時は別として、成瀬とふたりでランチに行くことなど一度もなかった。どうして急に誘われたのかがわからない。

「……はい」

 先輩からの誘いを断ることはできないのでひとまず頷くが、心の中ではなんの用かと警戒する。

(まさか……さっきのスマホ画面、見てないよね?)