俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 成瀬の言う通り、順番的には今回は結衣が同席する番だ。しかし、会席に同席するとなると夜遅くまで一緒にいることになり、会食がおわるとふたりきりだ。

(浩斗さんとふたりきり……)

 再び昨晩のことが脳裏によみがえり、結衣は狼狽える。

(き、気まずい……。逃げるように帰って来ちゃったし……)

 すぐに返事できない結衣を見て、成瀬がコホンと咳をする。

「よかったら、私が行こうか?」
「え? いいんですか?」
「ええ、もちろんよ」
「ありがとうございます! じゃあ、お言葉に甘えてよろしくお願いします!」

 これ幸いと、結衣は勢いよく被りを振る。

「了解。じゃあ、そういうことで」

 成瀬は片手を振って、すたすたと自席に戻っていった。

(代わってくれて助かった。それにしても、いかんいかん。気持ちが乱れているわ)

 結衣は気合を入れる。

(あれってどういう意味だったんだろう。いい加減に勝負で勝つことを諦めろってこと? それとも──)

 何度考えても明確な答えは出ず、結衣は小さく息を吐いた。

 ***

 会食の際は秘書がひとりは同席することになっており、それは平等に輪番制になっている。