俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

「ああ。A駅にあるスペイン料理店に行くらしいですよ。なんでも 大学時代のゼミの友人と最近偶然再会したとか──」
「ゼミの友人?」

 結衣が最近再会したゼミ時代の友人と聞いて、すぐにS商事の阿部のことを思い出した。偶然だが、今度の大型案件でサイバーメディエーションと競合するライバル企業だ。

「相手の名前は?」
「そこまでは──」
「そうか。わかった」

 浩斗は一旦その話を終わりにして、帰途につく。しかし、なんとなく不安感がぬぐえない。

 (まさかな…)

 結衣の会っている相手が、例の情報を引き出そうとしている相手だとしたら?
 そんなはずはないと思いながらも、妙に引っかかる。

(念のため連絡してみるか)

 外に出た浩斗は結衣に電話をかけた。

 ***

 阿部に案内されたのは、都心にあるスペイン料理の店だった。店の一角はステージになっており、一日二回、フラメンコのショーが開催されるのだ。

「すごい。こんな店あったんだね」
「珍しいよね。気に入ってくれてよかったよ」

 結衣はきょろきょろと店内を見まわす。

(インテリアも素敵! こんど社長と食事するとき一緒に──)