俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

「どうやら、旧知の人間から情報を引き出そうとしているようでして──」
「旧知の人間……」

 大規模案件の入札額は、企業秘密だ。その情報にアクセスできるのは、サイバーメディエーションの中でもわずかに限られる。開発担当部長、マネージャー、担当者数名、それに役員と役員秘書だ。

「情報を知りえる立場にある全員のアクセス情報をしっかり監視してくれ」
「はい。かしこまりました」

 田端は厳しい表情のまま、頷いた。



 それから一週間。
 覚悟はしていたが、浩斗はどことなく自分が結衣に避けられていることを感じていた。
 会食の同席は成瀬と田端ばかりだし、浩斗が社長室から出てくるとタイミングを見計らったように結衣は電話をし始める。週に一回の会食も『急用ができた』と直前でキャンセルになった。 

(完全に早まったな。順序を間違えた)

 まさかこんな初歩的なミスをするとは。
 悶々としつつも帰宅しようと社長室から出た浩斗は、結衣の姿がないことに気づいた。

「横溝さん、今日は早いんだな」

 珍しく思い、田端に問いかける。