俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 39℃の熱が出たら、数日間は動けなくなるのが普通ではないだろうか。しかし、ここにいるのは結衣の知る『普通の人』ではなく、『超人』だったようだ。
 荷物持ちをしながら、結衣は浩斗と成瀬の後ろを追いかける。

「次は西営業所での情報交換会です。50分後に開始します」
「ああ」

 それが終わったら、再び荷物持ちをしながら結衣は浩斗と成瀬の後ろを追いかける。

「このあとは昨日キャンセルしてしまったB社の社長との会合です。四十五分後に開始します」
「お詫びの品は」
「先方の社長のお好きな高級羊羹をご用意しております」
「助かる」

 浩斗は小さく頷く。そんな二人の様子を、結衣はどこか浮世離れした人を見るような気分で見る。

(この人昨日まで意識朦朧として寝込んでたよね? 病み上がりなのにハード過ぎない!?)

 相変わらず、浩斗の仕事っぷりには驚かされるばかりだ。元気な結衣のほうが、疲れてしまっている。
 必死で追いかけていると、浩斗が一瞬だけ結衣のほうをちらっと見た。
 浩人の口元が弧を描く。