***
──体が鉛のように重くて、思うように動かせない。
(苦しい。頭が痛い……)
熱にうなされている浩斗がうっすらと目を開けると、枕元に人影が見えた。
「お母さん?」
「全く。今夜はA商事のパーティーなのに。なんでよりによってこんな日に」
まだ熱が下がらない浩斗を見下ろして、母親はため息を吐いた。
「あ……ごめんなさい」
ぎゅうっと胃が締め付けられるような痛みが走る。
いい子にできなかったから、自分は母親を怒らせてしまったのだろうか。そんな不安が込みあがる。
「今夜は出かけるからお父さんもお母さんもいないからね。家政婦の森さんが来てくれるから、ちゃんと寝て明日までに治すのよ。明日は英語教室があるんだから」
「はい」
浩斗の返事を聞いた母親は、くるりと体を回して部屋を出ていく。浩斗はその後姿を、朦朧としながら見送った。
(行かないで、お母さん──)
大声で呼び止めたいのに、声が出てこない。
もし言ってしまえば、母親は自分に幻滅してしまうから──。
ハッと、目を覚ます。見慣れた白い天井が見えた。
「……夢か」
浩斗は顔を覆い、はあっとため息をつく。
(ずいぶん昔の夢を見たな)
ベッドの上で、上半身を起こす。着ているパジャマは汗でびしょびしょになっていた。
(だいぶ楽になったな。今、何時だ?)
時計を見ると、午後一時半を過ぎていた。
「……しまったっ!」
今日は取引先に伺うことになっていたのに、大寝坊だ。
勢いよく起き上がると、頭がくらっとして体がふらつく。
(まずは水でも飲むか)
リビングに行くと、「あ、社長! もう体調は大丈夫ですか?」と明るい声がした。なぜかそこには、愛犬と戯れながら仕事をしている結衣がいる。
──体が鉛のように重くて、思うように動かせない。
(苦しい。頭が痛い……)
熱にうなされている浩斗がうっすらと目を開けると、枕元に人影が見えた。
「お母さん?」
「全く。今夜はA商事のパーティーなのに。なんでよりによってこんな日に」
まだ熱が下がらない浩斗を見下ろして、母親はため息を吐いた。
「あ……ごめんなさい」
ぎゅうっと胃が締め付けられるような痛みが走る。
いい子にできなかったから、自分は母親を怒らせてしまったのだろうか。そんな不安が込みあがる。
「今夜は出かけるからお父さんもお母さんもいないからね。家政婦の森さんが来てくれるから、ちゃんと寝て明日までに治すのよ。明日は英語教室があるんだから」
「はい」
浩斗の返事を聞いた母親は、くるりと体を回して部屋を出ていく。浩斗はその後姿を、朦朧としながら見送った。
(行かないで、お母さん──)
大声で呼び止めたいのに、声が出てこない。
もし言ってしまえば、母親は自分に幻滅してしまうから──。
ハッと、目を覚ます。見慣れた白い天井が見えた。
「……夢か」
浩斗は顔を覆い、はあっとため息をつく。
(ずいぶん昔の夢を見たな)
ベッドの上で、上半身を起こす。着ているパジャマは汗でびしょびしょになっていた。
(だいぶ楽になったな。今、何時だ?)
時計を見ると、午後一時半を過ぎていた。
「……しまったっ!」
今日は取引先に伺うことになっていたのに、大寝坊だ。
勢いよく起き上がると、頭がくらっとして体がふらつく。
(まずは水でも飲むか)
リビングに行くと、「あ、社長! もう体調は大丈夫ですか?」と明るい声がした。なぜかそこには、愛犬と戯れながら仕事をしている結衣がいる。



