俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 浩斗は大人しくそれを受け取ると、水と一緒に飲みこんんだ。

「もう寝てください」

 結衣は浩斗に布団をかけようとする。

「結衣。ひとつだけ頼みがあるんだが──」
「頼み?」
「犬の世話をしてほしい」
「犬?」

 結衣は素っ頓狂な声を上げた。

「お腹空いてたね。たくさん食べてね」

 浩人のいう犬というのは、茶色いトイプードルだった。毛並みの色から、名前はチョコというらしい。もりもり餌を食べる犬の前でしゃがみこみ、にこにこしながら様子を見守る。
 あっと言う間にごはんを食べ終えた犬は、尻尾を振って結衣にじゃれてくる。

「可愛いー」

 思わず笑みが漏れる。このもふもふ感がたまらない。

(お願いって何かと思えば、まさか愛犬のお世話だなんて)

 そういえば昔レストランで、犬を飼っているという話をしていたなと思い出す。
 もっと凛々しくて強そうな犬を飼ってそうな雰囲気なのに、こんなに小さくて可愛い犬だなんて正直意外に思った。

(あんなに体調が悪そうでも、犬のことをきちんと気にかけるんだな)

 結衣にもすぐなついてきたこの犬は、きっと愛情たっぷりかけられて育っているのだろう。