俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 救急車を呼ぼうか迷う。でも、何かあってからでは遅いと電話をかけようとしたそのとき、「寝てれば治るから大丈夫だ」とか細い声がした。
 だが、そう言う浩斗は明らかに体調が悪そうで、立っているのもやっとの様子に見える。

「ひとまずベッドに寝ましょう。ちょっとお邪魔しますね」

 結衣は浩斗を支え、彼の自宅に入る。

「寝室はどこですか?」

 浩斗に教えられ、結衣は寝室へと向かった。
 ベッドの前で、結衣はふうっと息を吐く。
 なんとかベッドには寝かせたものの、浩斗は息が荒く辛そうだ。結衣は彼の額に手を当てる。熱はまだ高そうだ。

「病院は行きましたか?」
「懇意にしている訪問医に診てもらった」
「薬は?」
「その辺に置いて行った」

 浩斗はけだるげにサイドボードのあたりを指さす。結衣が見てみると、確かに薬が置かれていた。全部揃っている錠剤は、どう見ても飲んだ形跡がない。

「飲んでないじゃないですか。治るものも治らないから、飲んでください!」

 なんて手がかかるのかと呆れつつも、結衣は持ってきたペットボトルの水を開けて、錠剤と共に浩斗に差し出す。