俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 その翌日。
 出社した結衣は、オフィス全体が何やらせわしないことに気づいた。

「おはようございます。どうかしたんですか?」
「横溝さん、いいところに来ました。榊原社長が未明から熱を出したらしいんです」
「え?」

 結衣は驚いた。

(それって、昨日雨に濡れたせいじゃ──)

 状況的に、そうだとしか思えない。

「私と成瀬さんは今日のアポイント先への連絡と調整を行いますので、横溝さんは社長のご自宅に行ってください」
「わっ、私がですか…?」

 びっくりして結衣は聞き返す。

「今朝から何度電話をしてもつながらないので、様子を見てきてほしいんです」

 田端は険しい顔をして頷くと、浩斗の自宅住所が書かれた紙きれを結衣に手渡した。


 三十分後。結衣は都内一等地の高級タワーマンションの前に立っていた。
 地図アプリと住所のメモを見比べて、間違いがないことを確認する。

(すっごいマンション。社長の自宅に行くなんて緊張するけど……、仕事だし行くしかない!)

 腹を決めた結衣は、経口補水液やゼリー飲料などが入ったスーパーのレジ袋を手に、マンションのエントランスをくぐる。