俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

「怒らないですよ。誰にだって得意不得意がありますし、知らなかったことはこれから覚えればいいじゃないですか。失敗もいい思い出になります」

 結衣はにこりと笑う。

「それに、本当はBBQなんて興味ないのに、私に合わせてここを選んでくれたんですよね? ありがとうございます」

 浩斗は驚いたような顔をして、結衣を見つめる。浩斗。目が合った瞬間、ふいっと目をそらされた。

(なんで目を逸らすのよ!)

 せっかくいいこと言ったのに。結衣は、気を取り直す。

「とにかく、せっかくできたんだから食べましょう!」
「ああ」

 浩斗は割り箸を持つと、紙皿に載った肉をつまみ上げて口に入れる。

「……うまい」

 ぼそりと呟いた言葉はしっかりと結衣の耳に届いた。

「でしょ! 手間がかかった分、美味しく感じるんです」

 結衣は満面の笑みを浮かべる。

(ふふっ。社長のあんな姿を見られるなんて──)

 落ち込んだり喜んだり、普段は見られない姿を見たら距離が少し縮まったような気がした。