俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 普段の浩斗は〝これぞ仕事ができる男〟を具現化したような人間だ。段取りの悪さなど無縁で、常にてきぱきと物事をそつなくこなす。

「BBQをするのにおすすめの場所を聞く相手を間違えた」

 浩斗はあっと息を吐き、項垂れる。
 なんでも、キャンプが大好きで年間50回近くキャンプをする友人に聞いたそうだ。

(こんなふうに落ち込む社長を見るの、初めてかも……)

 いつも自身に満ち溢れている彼からは想像できない姿だ。

(ていうか、もしかして社長ってBBQの経験がほとんどない?)

 今日の様子を見る限り、とても経験豊富には見えなかった。むしろ、結衣より素人、まったくの初心者なのではないだろうか。
 特にBBQ好きでもないのに自分に合わせてここを選んでくれたことを悟り、くすっと笑みが漏れる。

(私を好きにさせて勝負に勝つためだろうけど、慣れないBBQを選んであたふたするなんて。意外と抜けてるところもあるんだ )

 完璧俺様男にも可愛いところがあることに、急激に親近感がわく。心なしか下がった犬の耳と尻尾が見えるような気すらしてきた。