俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

(うーん、困ったな)

 始めて来たこのキャンプ場は、薪を使うタイプのBBQで火は自分で熾さなければならない。さっきから薪の下に新聞紙を入れて火をつけているのだが、薪に燃え移る前に燃え尽きて消えてしまうのだ。

 周囲の家族連れの子供が「火、着いたよー!」と楽しげに言っているのが聞こえてくる。

(周りの人達は火がついているってことは、薪が湿気ているわけじゃないのよね……)

 となると、ただひとえに結衣と浩斗の火熾しスキルが低いことが原因だとしか考えられない。

「ねえ、パパ。 あそこのお兄さんたちずっと火ついてないけど、何してるの?」

 先ほどの子供が、こちらをチラチラ見ながら父親に話しかけている。

(あ、傷ついてる)

 純真無垢な子供の質問は、ときにひとの心を抉る。子供の声は浩斗にもしっかりと聞こえていたようで、傍目に見てもわかりやすくショックを受けた顔をしていた。

 見かねたのか、先ほどの親子が近づいてきた。

「それじゃあだめだめ。兄ちゃん、こういうときはこうやってだな──」

 父親のほうが薪の表面の細かく削り、着火しやすく加工していく。じっと見守っていると、あっという間に火が付いた。