俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 スマホに向かって問いかけると、音声認識でエンちゃんが現れる。

【理想の恋人の選び方を知りたいんだね? それは、相性を見極めることが大切! まずは、価値観が合うか──】

 エンちゃんはつらつらと理想の恋人の選び方をアドバイスしてくる。
 結衣はしばらくそれを眺めていたが、途中で画面をオフにした。

「……何やってるんだろ、私」

 あれだけ信用ならないと言っていたマッチングアプリに、アドバイスを求めるなんて。

「はあ、寝よ」

 結衣は毛布を首元まで引き上げると、部屋の電気を消した。

  ***

 週末、結衣は郊外にある本格的なキャンプ場に来ていた。
 結衣がBBQが好きだと言ったので、浩斗が誘ってくれたのだ。

「うーん、だめですね」

 結衣は全く火が付く気配のない薪を眺める。

「なんで食材を加熱するのに、こんな原始的な方法を使うんだ。コンロかオーブンを使えばいいものを」

 苛立ちを含んだ口調で、浩斗が言う。

「まあまあ、これが楽しいって人も多いので。着火剤あります?」
「ない」

 不機嫌さを隠さない浩斗は、首を横に振る。