俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 大学のゼミの仲間と集まるのは、卒業以来だ。
 大衆居酒屋で料理を囲むと、まるで学生時代に戻ったような気持ちになる。

「かんぱーい」

 集まった仲間が元気よくビールジョッキで乾杯する。
 大学を卒業して早四年。ゼミの仲間も出世したり、転職したり、結婚をしたりと様々だ。

「社長秘書? すごーい!」

 何をしているのかと聞かれた結衣が秘書部で社長の秘書をしていると言うと、ゼミ仲間たちは興奮したような様子を見せる。

「……まだ新人だけどね」

 結衣は苦笑する。

「だって、サイバーメディエーションの社長ってよくメディアにも出てくるあのイケメン社長だよね? ねえ、浮いた話とかないの? 社長と秘書の秘密の恋とかさ」

 結衣はゲホッと咳き込む。

「ないない! 絶対ない!」
「そっかー。じゃあ、今の彼氏は社内?」

 酒が入ると人間遠慮がなくなるものだ。
 ゼミ仲間は聞きにくいことでもずけずけと聞いてくる。

「違うよ。私、彼氏いないもん」

 結衣が答えると、横に座っている阿部がビールグラスを置く。

「へえ。横溝さん彼氏いないんだ?」
「いい出会いがなくって」

 結衣はあははっと笑う。浩斗との関係は勝負のための契約だから、彼氏ではない。

「じゃあ、俺が立候補しようかな」
「え?」
「横溝さんの彼氏」

 数秒の沈黙ののち、周囲が「きゃー!」と騒ぎ出す。

「何々、公開告白?」