俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

 紛失したタブレットには数万件の顧客データが入っていたらしく、この件は連日ニュースで報道されている。
 どのような処分になるかはまだ不明だが、浩斗は懲戒解雇もあり得るだろうと言っていた。恋人の部屋に社用品を置き忘れただけのつもりだった智紀からすると、とんでもなく高い勉強代になったようだ。
 そして、玲奈は私的なことで職場に迷惑をかけたことを上司から強く注意され、二週間の出勤停止処分となったようだ。

(ごみ置き場から盗まれたんだろうけど……。自業自得とは言え、バカだなあ。あんな男を一瞬でも本気で好きになった自分が恥ずかしい)

 結衣ははあっと息を吐く。
 そのとき、スマホにメッセージが届いたことを知らせる通知が鳴った。画面には『阿部聡』の表示が。

「あれ? 阿部君からだ──」

 ばったり再会して名刺をもらったのをきっかけに連絡先を交換したのだが、特に連絡してはいなかった。なんだろうと不思議に思いながらも、結衣はメッセージを見る。

『急遽、来週ゼミのときのやつらと飲みに行くことになったんだけど、横溝さんも来ない?』

 メッセージを読み、結衣はぱっと表情を明るくする。

「誰から届いたの?」
「え?」

 気付くと、夏希がじーっとこちらを見ていた。

「なんか、画面見たとたんに嬉しそうな顔したから。もしかして、彼氏?」
「違う違う、もうこりごりって言ったじゃん! これは、大学の時の同期から飲み会のお誘い。同窓会みたいな?」
「同窓会? えー、いいな。私も随分学生時代の同期には会ってないな」

 夏希は羨ましそうに目を細める。

「行くの?」
「うん、行きたいな」

 結衣は素早く、参加したいとメッセージを送る。

「楽しみだなー」

 結衣はスマホを眺め、笑みをこぼした。