俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~

「ちょっと、社長! 待ってください!」

 結衣の呼びかけに、浩斗ぴたりと止まる。

「はあ、やっと追いついた」

 結衣は息を切らして、浩斗のすぐそばに駆け寄る。

「社長、どうして私があそこにいるって知ってたんですか?」
「外出先から戻ってきたときにたまたまロビー階であいつの姿を見かけて、なんとなく気になったんだ。受付に確認したら、結衣を呼び出したと聞いて──」

 結衣は浩斗の顔をじっと見つめる。

(もしかして 心配して駆けつけてくれたのかな?)

 心配して駆けつけたのかと聞いても、浩斗の性格だと「はい、そうです」とは言わないだろう。けれど、きっとそうだと思った。

「助けてくださりありがとうございます」

 お礼の言葉を言うと、浩斗は結衣をチラッと見る。
 彼の手が伸びてきて、結衣の頭にぽんっと乗る。

「ちょ──」

 ちょっと、何するんですか! そう言おうと思ったのに、そのセリフは喉の奥で消える。

(今、笑った?)

 今確かに、浩斗の口元が綻んだ気がしたのだ。

(助けてくれた上に、そんなレアな表情をみせるなんて……反則でしょ)

 結衣はふいっと、浩斗から顔を背ける。頬に熱が集まり、赤くなっているのが分かった。