アオさんの寝ている部屋は浴室よりもずっと狭かった。
それなのに浴室よりも広く感じるのは、異様なほどに物がないからだろうか。
殺風景なその部屋は、アオさんが逃げてきたことをより裏付ける証拠のようにも感じた。
横になり目を瞑っているアオさんは、やはりうなされていた。
ゆめ。ヒトも夢を見るのだろうか。
それならきっとわたしの歌声よりも酷い夢に違いない。
対抗するように近くで歌っていると、アオさんがうっすらと目を開けた。
「……やめろ音痴」
「あっ起きてたの」
「寝てたよ。数秒前までは」
外から差し込む月明かりが眩しかったのか、彼は目元を腕で覆いながら呟いた。
「なんでこっちいんだよ。ここに水はないぞ。死ぬ気か?」
「死なないよ」
「それとも怖くなったか、人殺しと一緒にいることが。海に帰るなら連れてくぜ」
その言葉を無視して。
昼間の話の続きをしよう、とわたしは言った。



