ワンルーム、きみと小さな海をみる



「あ、ありがとう……」

「どういたしまして。いま取ってやるから、ビチビチすんなよ」

「ビチビチ……うん、はい」



男のヒトは素手で、なるべくわたしの鱗に触れないようにしている。

苦労しているようだったので、もっとガッと触れていいのになと思った。

もしかして汚いと思われているのだろうか。



すると、わたしの考えていることが伝わったのか、男のヒトが言った。




「いや、今日にかぎって軍手忘れたんだよ。魚って素手で触れたら火傷するって言うだろ」

「しないよ。それ迷信だもん。それにわたしは人魚だから体温もヒトに近いよ」



一般的な人魚に倣ってわたしの上半身もヒト、下半身は魚だった。

その言葉を聞いた彼がそっとわたしの尾びれ、それからほっぺに触れる。





「ほんとだ。あったけーじゃん」


彼の目は、綺麗なあおいろをしていた。