ワンルーム、きみと小さな海をみる









「ねーアオさん、次これ見たーい!」

「あんま濡れた手で触んな。感電するぞ」



テレビはヒトじゃなく"でんしきき"というものだった。


感電には気をつけなさいと海にいるときから口酸っぱく注意されていたので、すぐに手を引っ込める。

アオさんが言うに、この浴室にある"こんせんと"も危ないんだとか。


そんな危険なもの、なんでほったらかしにしてるんだろうって不思議だったけど。




「なるほどテレビのためだったんだね。ヒトの娯楽は刺激的でスリル満点だなあ」

「逆に人魚の娯楽ってなにがあんの?貝殻集めとか?」

「貝殻集め!なつかしい、わたしも子供のころよくやってたっけ」


ふむ、人魚の娯楽か。



「手ごろな岩礁に乗り上げて、誰がいちばんヒトに見つかるぎりぎりまで耐えられるかはよくやってたよ」

「チキンレース。すげーな人魚、怖いもんなしか」

「わたしぐらいの年になるとみんな、外の世界に興味を持ち始めるの。外の世界というか、あなたたちヒトの世界ね」




もちろん、ヒトに人魚の存在を知られてしまうのはタブーだ。


わたしたちはいわゆる神秘的な存在として知られているし、あの海の怪物セイレーンと人魚との区別もつかないヒトも多いと聞く。