それはある日のこと、お昼に買ってきてもらったハンバーガーを食べているときだった。
「ん?」
ぴくり、とわたしの耳が反応する。
「どうした?」
「アオさん、お友達来てるの?」
その言葉にアオさんは顔をこわばらせた。
なにかまずいことでも言ってしまったのだろうか。
「来てないけど。つーかこの町に知り合い居ないし」
「でもたまに声が、ほら、いまも誰かの声が聞こえるよ。……え、もしかして幽霊?」
このドアの向こうには、アオさんの生活している部屋があるはずだ。
誰かのひそひそ声はそこから聞こえる。
わたしがそう伝えると、「声…」とアオさんが眉根を寄せて。
それから耳を澄ませるように目を閉じ、すぐに思い至ったようにふっと肩の力を抜いた。
「ああ、テレビな。ビビらせんなよ、ったく」
「テレビさんっていうんだ?」
「……まあ、知らねーわな。いま持ってきてやるから待ってろよ、海育ちのお姫サマ」



