水を煽ったユウキが、イヤホンをつけて練習を再開する。
私もダウンを脱いで支度を整えて、まずはストレッチを始める。
スタジオの鏡壁の前。端と端。
他のメンバーが来るまでそれぞれの時間を過ごす。いつもそう。
(ここに来る前にちょっとだけ走り込んできたし、ウォームアップは短めで良さそう)
屈伸運動を終えて、すくっと立ち上がる。
向こう側のユウキの気配と、そのタイミングが重なった。
被ったな、と隣を見る。
ユウキも同じことを思っていたようで、こっちを見てる。
にへら、と笑いかけてみる。
……あっ、嫌そうな顔をした!
仲良くなる日はまだまだ先みたい。
というか、来るのか?そんな日。
空気を漏らすように笑みを溢して、私もイヤホンを装着する。
踏み出したステップの一歩が、またもユウキとかぶる。
けれど、お互い前しか見てないから今度は察知できなくて。
それからの動きは全部違う。
やってることもクセも表情も、全部違う私たちが鏡の中に映っていた。



