一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―


「さっき。で、千景?サボってただろ」


話題逸らし、失敗。
これは逃げられないやつだ


「…………活かす場がないと思いまして、つい」

「“つい”じゃねぇ。セルフケアと自主トレは欠かさずやれって言っただろ」


ドカッと長身男子の全体重が乗っかる。
この兄、人のことソファにしてる!


「痛っだだただ!腰が!腰が壊れます!お兄様!」

「おー、ちゃんと体畳めんじゃねぇか。だったら最初からやっとけ」

「今限界を超えてるから!死ぬー!」


ジタバタしてるのに一向に退いてくれる気配がない。
それどころか、微かに紙を捲る音がする。


――サイコパスだ。
苦しんでる妹の上で優雅に台本読んでる!


息も絶え絶えになりながら、この状態に耐える。
かろうじてわずかに顔を上げると、テレビにはお上品に笑う俳優モードのお兄ちゃん。


ツンと澄まし顔で鬼のような所業をしている人と、本当に同一人物なのか……たまに疑いたくなる時がある。


「風当たり、強かったらしいじゃん」

「え?」

賑やかなテレビの音に紛れて、静かな声が聞こえた。
ほんの少し首を捻って見上げたお兄ちゃんの姿は、後ろ頭で表情が見えない。


「宇都から聞いた。
状況的にそうなるのは予想してはいたけど。嫌な思いさせたな」


――これは……謝られてる?


珍しく潮らしく感じる態度に戸惑う。

普段お兄ちゃんが実家に帰ってくるのは1、2ヶ月に一回くらいの頻度。

“アイドルやれ”と言ったあの日から、1週間ほどでまた帰ってきたから妙だとは思ってたけど……


もしかして、心配してきてくれたとか?


それも珍しくてなんか怖。
明日は槍でも降るかもしれない。


――でも、素直に嬉しいじゃない。