「リスクとってでも千景を入れたのは正解だったわね」
ガヤガヤとした室内で、その言葉を聞いたのはすぐ側にいた宇都さん1人。
ホッと胸を撫で下ろしながら、「はい……」と疲れ混じりに頷いた。
「日向からいくつかもらった参考資料見て、素直な子だなって思ったの。
クセ強い子ばっかり起用したでしょ?いい緩衝材になりそうって思ってたけど、期待以上だった」
輪の真ん中で、へらへらと笑う私のことをSEIKOさんはまっすぐに見つめる。
磨けば光る原石の匂いを感じ取って、その目がキラリと鋭く光った。
「選曲、構成にちゃんと意図を持ってた。誰に伝えたいかも明確。
振りを簡単にしたのも、恐らく練習より話し合いに時間を割くためね」
南と千景。それぞれの強みを活かすにはどうするか。
ユウキ、蓮、昊に気持ちを届けるにはどうするか。
仲間や観る人のことを考えられる子は、強い。
「あの子はきっと愛される。ファンにもメンバーにも、ね」
「メンバー……は、ちょっと良くないのでは……」
(女の子だし……)と宇都さんは思ったが、この場では言えない。
「あら!そういう意味じゃないわよ。
――とにかく、これでようやくflying-Hiを本格始動できるわ」
――そう、ここはまだスタートラインですらない。
私たちは、ひとつになったばかりのまだ誰も知らないアイドルの卵。
「さぁ、忙しくなるわよ」
新星アイドルグループ・flying-Hi
今、ここに始動する。



