「ユウキ!」
頭上でわちゃわちゃと騒ぐ声に負けない様に、声を張って呼びかける。
ぴたり、会話が止んでユウキの長いまつ毛がビクンと揺れた。
ほんの少しの隙間から、ユウキに向かって手を伸ばす。
驚いている顔に、緊張気味に笑いかけた。
「アイドル、一緒にやってくれる……?」
ドキンドキン。
応えてくれるかはわからないから、胸が鳴る。
ユウキの眉間がキュッと寄って、迷って、その手は握ったり開いたりしている。
南達も、スタッフさん達も、みんなが黙って様子を見守っている。
長い沈黙のあと。
ユウキは、ぐしゃりと前髪をかき上げて、小さく舌打ちをした。
一歩、壁に張り付いていた背中が離れる。
それから踏み切った勢いが鈍らないうちに、ズンズンと距離を詰めてきた。
気の強そうな、ビー玉みたいな深紫色の目と視線がぶつかる。
差し出した手の目の前で、ピタリと立ち止まった。
ユウキの口が開いて、一拍間を置いて言葉が飛び出た。
「別に、負けたわけじゃないから!」
キッと険しい表情。その耳は、ほんのりと赤い。
「――でも、」
ユウキの視線が一瞬逸れる。
あっと思って、すぐに。パシッと伸ばした手を取られる。
ギュッと握ってきた手は、熱い。
「ひとまず一緒にやってやるっ」
繋がった手から、言い表しがたい喜びが込み上げる。



