一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―

ぼすっと何かにぶつかる背中。
面食らってる間に、首元に大きめ夏ニットの薄紫色の腕が回る。


「ねぇちょっと 近すぎない?」


インカムのない片耳に、直接届く高めの吐息っぽい歌声。
反対の耳からもインカムを通した同じ声がして脳がバグる。


赤くなってどよめく客席。

正面のモニターに、後ろから抱きしめられて顔を寄せ合う私とユウキ。


(——え゛っ)


状況を認識した瞬間にドンと突き放されて、元のポジションに戻された。


ドギマギしながら左を向けば、ユウキはベッと悪戯っぽく舌を出す。


近くの人と顔を合わせて、ぴょんぴょんとはしゃぐ紫コーデの女の子たち。
違う色を持つ子たちも、目を泳がせて右往左往している。


「——その距離感 期待しちゃうじゃん」

南がガッと自分を抜きに来たカメラに近づいて、レンズを守るフレームを掴む。

壁ドンでもしてるかのような構図。
そのカメラの録画ランプが止むと、ステージ際にも寄り道して女の子何人かを指さして帰る。

カメラと客席に背を向けた瞬間、ユウキに向かって挑発的に微笑む。
ほんの少しのピリつきが見えた気がするけど、気のせいなような気もする。