一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―


「……歌で恋、させる……」

血色のいい唇が、ぽつりと何か呟く。
その小さな声は誰にも届かなくて、私も南達も不思議そうに首を傾げた。

「……ドラマ終わったし。全員帰ってくれる」

ユウキの顔がいつもの毅然とした仏頂面に変わって、特に後ろの南と蓮に睨みを利かせる。
「おお?」と南が楽しそうに言って、たじたじの私と蓮、それからさっさと腰を浮かせた昊と一緒に立ち上がった。

挨拶もそこそこに、ぞろぞろと外に出ていく私たち。
1人ずつしか靴を履けない狭い玄関で最後に靴を履いていた私に、ユウキが後ろから声をかけてきた。

「ただ自分の感情ぶつけたんじゃ、ときめけないよね」

——いや、独り言だった?
振り返ったユウキは、挑戦的に不敵に笑っている。

「僕の恋色で、次はドキッとさせるから。
シンメよろしくね?千景」

深紫の目には、闘志。
何かを掴みかけている、そんな風にも見えて心が湧く。

「——うん。俺も、頑張る」

そもそも男同士ってことなんだから、メンバーをときめかせるというのは少し違う気もするけど。

そのくらいの気概でやる。
きっと、そういうことなのだ。

「勝負だね!ユウキ!」

なんで笑っても、実はまだ自信もないんだけど。

ユウキが面食らった顔をして——
それから自分でも腑に落ちていないように首を傾げて、最後は「ああ、うん」と一先ず頷く。

「千景ー、遅い。早くしろー」とドアの向こうから南の声がして、慌てて外に出ていく。


——恋色サイダー、初披露はもう目前。

自分が何を思い描いて、恋の色を歌って踊るのか——
出来上がりつつある形に乗せる色は、まだぼんやりとしていた。