じわりと布に溶ける体温。
そこに張り付く耳に響くゆったりとした胸の音。
シトラス系の爽やかな香りと、体にしっかりと回された腕。
――私は今、誰かに抱きしめられている。
「あー、これはこれは……」
頭の近くで、芯の通ったクリアな声。
一回聞いただけでも印象に残ってるこれは、“南”の声。
(つまり、私を抱きしめてるのは“南”……っ)
すべてを悟った瞬間、ぶわっと顔が熱くなる。
だって、男の子に抱きしめられるのなんて初めてだから。
「なるほどねぇ……」
男に抱きしめられて赤面する男なんて、おかしいでしょ……
でも赤くならずにいられない。本当は男じゃないもん。
だから、さりげなく“南”の胸に顔を埋めて隠す。
“南”は当然意識するはずもなく、ぎゅうっとその腕に力を込める。
薄っぺらい私の体に、細身の割にしっかりと筋肉のついた“南”の体がぴたりと密着して、熱い。
小さく肩が跳ねて、誤魔化すために身を固くして縮こまる。
(いつまで続くの?これ……!)
“蓮”のワクワクした目と、“昊”無機質な目、“ユウキ”のドン引きしてる目が私達を凝視してる。
自分より高めの体温にくらくらしてきた。
そう思った時、ふわっと肩を押されてようやく体が離れていった。
「これは――しっかり男子だね!」



