一日限定の恋が終わらない

「おはよう詩音。今日は助かる」
「おはよ。いつもと雰囲気違って可愛いじゃん」
「さすがチャラ男」
遊園地の入り口前にある像付近。
時計を見ながらまわりを見ていた私の視界に、見知った男の顔が入り込んだ。
彼はクラスメイトの白灯(しらひ)詩音(しおん)
私の我儘に付き合ってくれた、優しいチャラだ。
「2人は?」
「まだっぽい。約束の時間までまだ5分だし」
「そ。じゃあ、はい」
興味なさそうに頷いた後、ニコニコ笑顔の詩音が手を差し出してきた。
「・・・なに?」
「え、手。繋ぐでしょ?あれ・・・あー、音桜(ねお)は分かんないか!恋人はね、デートでは手を繋ぐんだよ」
「・・・ぅるさい、知ってる」
女慣れしている詩音に揶揄われるのが悔しくて、勢いに任せて手を繋ぎ、指を絡ませる。
「おー、音桜は恋人繋ぎ知ってるんだね」
「・・・」
くずれない。笑顔も余裕さも、まったく変わらない。
それどころか・・・。
「・・・ぉっと」
つないだ手を引き寄せられ、肩同士がぶつかる。
思わず顔が赤くなり、それに気づいた詩音に顔を覗き込まれた。
「こんなので赤くなるなんて、音桜は初心で可愛いね」
勝てない・・・。
心の中で唸っていた時、救世主が現れた。
「音桜ちゃーん!」
「あっ・・・千景」
隣に立っている男の人を振り払って(⁉)こちらに走り、抱きついてくるのは、友人の千景(ちかげ)
遅れて、隣に立っていた男の人も近づいてくる。
「初めまして。砂原(すなはら)緋色(ひいろ)です」
「千景の友人の(かのう)音桜(ねお)です」
「音桜の彼氏の白灯(しらひ)詩音(しおん)です」
「音桜さん、詩音くんと呼んでも?」
「「はい」」
千景の彼氏・・・緋色さんは、大学生くらいの、知的な人だ。
礼儀も正しいけど、ちょっとカタいような・・・。
「緋色くん、そんなカタくなくていいんだよ!」
「今日は無理を言って付き合ってもらったんだろう。お前も抱きつく前に挨拶をしたらどうだ」
千景の一方的な愛のように感じる・・・。
まぁ、千景は緋色さんのことがすごく好きそうだし、いいか。