「その方が、都合がいいです。」 「何のだ。」 「弥生さんの。」 その名前を、今度ははっきりと口にする。 「焦ってました?」 氷は、答えない。 だが、その沈黙自体が答えだった。 「……あの人」 椿は、グラスに指をかける。